「どうすればよかったの?」——答えのない問いを投げかける映画
- hirokamarriagesalo
- 2月25日
- 読了時間: 4分
更新日:3月13日

『どうすればよかったの?』を観て
札幌のシアターキノで、映画『どうすればよかったの?』を観てきました。この映画は、統合失調症を患った姉と、その家族がどのように向き合ってきたのかを描いたドキュメンタリーです。
映画『どうすればよかったの?』ネタバレあり|家族の選択と後悔を描くドキュメンタリー
上映の冒頭、スクリーンには「これは統合失調症を知ってもらうための映画ではない」
といった言葉が映し出されました。
その言葉通り、この映画は病気の解説をするものでも、誰かの判断を批判するものでもありません。
ただ、ある家族が25年間にわたり選んできた道を映し出し、観る人に「どうすればよかったのか」と問いかけます。
映画を観ながら、私は何度も「もし自分だったら?」と考えました。
親の立場として、子どもが統合失調症になったとしたら、私は迷わず精神科へ連れて行くと思います。病気と向き合い、本人が少しでも楽に生きられる道を模索するはずです。
しかし、それが本当に正しいのか——映画を観終えた後でも、その答えは簡単には出ませんでした。
この映画の監督は、統合失調症を患った姉の弟です。
彼の視点から描かれる家族の姿は、他人事ではなく、当事者だからこそのリアルな苦悩に満ちています。
藤野家は、病院や施設、ケアワーカーの力を借りることなく、家族の中だけで姉と向き合い続けました。
それは並大抵のことではなく、時には「病院に連れて行くべきだったのでは」と考えさせられる場面もあります。
しかし、映画の終盤で監督が父に「今、お母さんも娘さんも亡くなり、どう考えますか?」と尋ねたとき、
父は「間違ってはいなかった」と答えます。
その言葉には、25年間向き合い続けた者にしか分からない、深い信念が感じられました。
この映画では、医師である父と母がどのように娘と向き合ったのかが描かれています。医師であるからこそ病気を理解し、医師であるからこそ自宅でのケアを選んだのかもしれません。
しかし、「医師だからできた選択」「経済的に余裕があったからできた環境」についてはほとんど触れられておらず、それもまた考えさせられる点でした。
この作品は、統合失調症を患った姉の視点、家族として支える親の視点、そして弟としての視点など、さまざまな立場から考えさせられる映画でした。
ドキュメンタリーだからこそ、脚色は一切なく、映像も暗く、ドラマチックな音楽もありません。
それでも観る人の心を深く揺さぶり、大ヒット上映が続いているのは、この映画が「正解のない問い」を私たちに投げかけているからだと思います。
自分の家族の姿をそのまま世の中にさらすことは、とても勇気のいることです。
批判されるかもしれない、炎上するかもしれない、同情の目で見られるかもしれない——それでも監督は、20年以上にわたる家族の記録を映画として残しました。そこに込められた思いは計り知れません。
『どうすればよかったの?』——この問いに、誰も明確な答えを持っていません。だからこそ、この映画は多くの人の心に響き、それぞれの立場でさまざまな考えが生まれるのだと思います。
シアターキノについて

今回こちらの映画を見たのは札幌にあるシアターキノです。
シアターキノは、札幌市中央区の狸小路6丁目にあるミニシアターです。
1992年に市民出資で設立され、1998年に現在の場所へ移転しました。
63席と100席の2つのスクリーンを持ち、最高級の音響設備を備えた映画館です。大手配給会社が扱わない良質な作品を上映することでも知られ、映画好きには欠かせない場所となっています。最近ではカフェも併設され、映画鑑賞の前後にゆったりと過ごすこともできます。
デートで大きな映画館で広告が沢山打たれている映画を見るのもいいですが、心打たれる映画をたくさん上映している「シアターキノ」さん、私のおススメです。
結婚を考えているあなたへ
結婚とは、家族をつくること。
家族にはいろんな形があり、決して幸せなことばかりではありません。それでも私は結婚してよかったと思うし、これから結婚を考えている人にも「幸せになるために」ではなく、「幸せを感じるために」結婚をすすめたいと思います。
今回の映画の家族も、外から見れば大変な道を歩んできたように見えるかもしれません。
しかし、映像の中の姉は、ビデオカメラを向けられると無邪気な笑顔を見せていました。
どんな状況であれ、家族の中に笑顔が生まれる瞬間がある——そのことに気づかされました。
結婚をすると、予想もしなかった出来事に直面することもあります。
でも、それを乗り越えていくのが「家族」なのかもしれません。だからこそ、幸せを感じる瞬間を大切にしてほしいと思います。
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